中小企業の方へ
中小企業が特許を活かす方法
1.事業に貢献する発明を生みやすい立場にあることを利用する
社長は、
経営・開発・製造・営業の総てにバランス良く精通しています。
大企業では、経営・開発・製造・営業を一人の従業員がこなすことはありません。
発明を完成しても、経営の観点、製造部門の立場、ユーザの声のうちいずれか一つでもズレていると、
事業に貢献する発明というものに、なかなかなりません。
社長がした発明や、社長が認めた発明というものは、事業に貢献する発明であることが多いのです。
2.意志決定の早さを利用する
中小企業の場合、大企業に比べて意志決定のスピードが速いことが最大の武器になります。
特許は一日でも早く出願した者が勝つ"
先願主義"を採用しているからです。
着想段階のものでも、社長のカンで
「この技術はいけそうだ」ということになれば、すぐに出願することができます。
3.着想段階のアイデアは特許出願を選択する
技術を保護する制度として
特許と実用新案とがあります。
実用新案登録出願のメリットはなんといっても、権利成立までの早さにあります。およそ2~3ヶ月で権利が成立します。
「この技術はいけそうだ」という社長のカンで出願することになった着想段階のアイデアは
特許出願を選択します。
実用新案登録出願では、早期に権利を得ることができても、出願から6ヶ月程度でその内容が公開されて公知になってしまいます。
出願から
6ヶ月も経てば、実際に試作品作成にとりかかり、具体的な
改良点や
修正点が出てきているでしょう。
しかし、着想段階のアイデアが実用新案登録の公開によって公知になっているため、それらの改良点や修正点を出願しようとした時には、公知になった着想段階のアイデアに対して、進歩性があるか・・・ということになってしまいます。
要するに、自分で自分の首を絞めてしまうわけです。
特許出願を選択していれば、出願から1年半は公開されません。
また、出願から1年以内であれば、追加や修正の特許出願を行うことができます。
そして、特許出願であっても、
早期審査制度を利用すれば、審査請求をしてから
半年以内に権利を得ることも可能です。
あるいは、当事務所では、実用新案制度を最大限活用する戦略も御提案いたしております。
詳しくは、当事務所オリジナルの
”スペシャル実用新案登録”をご覧下さい。
4.ニッチ市場での権利取得
大企業が目を向けないような「ニッチ(すきま)市場」にいち早く参入し、まず、基本技術の特許取得を目指します。
ここにいう基本技術とは、
ここを通らないと製品化できないところを押さえた技術です。
また、一つの特許権では心許ないところがあります。
見方を変えた
多面的な保護が必要でしょう。
、製品とは別に製造装置でも特許権を取得しておいたり、あるいは設計的な観点(例えば設計のしやすさ)から見た特許権、製造的な観点(例えば歩留まりの向上)から見た特許権、販売的な観点から見た特許権(例えば、パッケージ技術)、さらには意匠権(商品デザイン)や商標権(ブランド)も取得しておくことが必要になるでしょう。
こうして
産業財産権網を張りめぐらすことにより、
後発メーカの参入を防ぐとともに、その分野での商品の
価格維持を行うことができます。
基本技術の特許を取得することができれば、次は、
改良技術を継続的に出願していきます。
基本技術の特許を取得しても、有効な改良技術を第三者に押さえられてしまうと、その第三者の改良技術を実施することができなくなってしまい、お互いの権利をライセンスし合うこと(クロスライセンス)になって、後発メーカの参入を許してしまいます。
改良技術が、出願を待って、市場にすぐ投入する商品に直接採用される技術であれば、その出願は、実用新案登録出願を選択してみても良いでしょう。早期に、安く、簡単に権利を取得することができます。